急性期脳卒中患者に対する予防的抗生剤投与の有効性に関する論文の紹介です。
Preventive antibiotics for infections in acute stroke: a systematic review and meta-analysis.
van de Beek D, Wijdicks EF, Vermeij FH, de Haan RJ, Prins JM, Spanjaard L, Dippel DW, Nederkoorn PJ.
Arch Neurol. 2009 Sep;66(9):1076-81.
2005年〜2008年の間に発表された4つのRCTのメタ解析です。
年齢は17歳〜19歳以上、重症度はNIHSS>4-11またはmRS>3で、全426人中94%が脳梗塞です。
使用されている抗生剤は(発症24時間〜36時間以内に開始)、
1)Levofloxacin (クラビット)500mg/day 3日間
2)Minocycline (ミノマイシン)200mg/day 5日間
3)Moxifloxacin (アベロックス) 400mg/day 5日間
4)Mezlocillin (メズロシン)6g/day+ Sulbactam (スルバクタム)1g/day 4日間
4)の組み合わせは日本だとユナシンS (スルバクタム/アンピシリン)が最も近いイメージでしょうか。
結果は、
上段Aが感染、下段Bが死亡についてです。
感染症は抗生剤投与群において、コントロール(プラセボ)群と比較して優位に少ない(32/136 (23.5%) vs 53/139 (38.1%), OR=0.44 (95%CI, 0.23-0.86))という結果でした。
死亡については、両群間に優位差はありませんでした(10/210 (4.8%) vs 13/216 (6.0%), OR=0.63 (95%CI, 0.22-1.78))。
抗生剤投与による重篤な合併症はありませんでした。
急性期成人脳卒中患者に対する抗生剤の予防的投与は感染の合併を抑制するうえで有効のようです。感染症の中身が呼吸器系なのか尿路系なのかは不明です。